当院は 日本甲状腺学会 認定専門医 施設です。

糖尿病、甲状腺疾患の専門医院
なかやまクリニック

当院は甲状腺専門医施設です
Thyroidologist Clinic

当院は甲状腺学会認定の甲状腺専門医施設で、甲状腺専門医による甲状腺外来を開設しております。甲状腺に関して専門的な医療を提供いたします。

  1. 甲状腺ホルモンとは?
  2. 甲状腺の病気
  3. 甲状腺の検査

甲状腺の病気がある方はもちろん、症状や頚(ほお)のあたりが気になって甲状腺が心配な方は、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

スピーディーな検査

当院では、甲状腺ホルモンは採血して約40分後に結果が出ます。甲状腺超音波検査とあわせて、当日のうちに大体の甲状腺の状態をお伝えできます。また、甲状腺細胞検査も可能な限り当日施行します。

超音波検査による甲状腺癌の早期発見

当院の超音波検査は、組織弾性イメージング法(エラストグラフィー)を搭載した機種を用いて、細胞診も超音波ガイド下で確実に行い、甲状腺癌(がん)の診断率向上に努力しております。

超音波検査と細胞検査で毎月、数名の方に甲状腺癌が見つかっております。

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甲状腺ホルモンとは?
Thyroid Hormone

甲状腺は首の前部、のどぼとけの下にある小さな臓器です。 蝶々のような形をしています。 ここで体に必要な甲状腺ホルモンをつくっています。

甲状腺の働き

甲状腺でつくられた甲状腺ホルモンは、血液の中に入り、体のいたるところに運ばれます。 甲状腺ホルモンにはT3とT4の2種類があります。 T3とT4とも甲状腺でつくられますが、血液中ではT4の方が多く、甲状腺の外のところでT4からT3につくり変えられます。 T3とT4の違いは以下のようになります。

比 較 項 目T3T4
含まれるヨードの数3つ4つ
甲状腺での作られる量少ない多い
血液中の濃度少ない多い
持続時間短い長い
効  果強い弱い

T3はT4の4倍の働きがあります。T3とT4がうまくバランスをとって甲状腺ホルモンの働きを調整しています。

甲状腺ホルモンの働き

甲状腺ホルモンには

  1. 新陳代謝を促進する
  2. 体や脳の発育・発達を促す
  3. 内臓の働きを調整する

などの作用があり、生きていくためには欠かすことができないホルモンです。 多すぎても少なすぎても体調が悪くなってしまいます。

甲状腺ホルモンの調節

甲状腺ホルモンは脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されます。甲状腺刺激ホルモンは脳の視床下部から出る甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により調節されます。脳の下垂体と視床下部には甲状腺ホルモン(T3、T4)の血液濃度を感知するセンサーがあり、甲状腺ホルモンはTSHとTRHを下げる働きがあります。

このようにして甲状腺ホルモンが多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりしないように上手く調節されています。普通、甲状腺ホルモンが多過ぎるとTSHが下がり、甲状腺ホルモンが少な過ぎるとTSHが増加します。

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甲状腺の病気
Thyroid Disease

甲状腺の病気の種類は、大まかに以下のように分類できます。

原 因病 状
甲状腺の働きに問題がある 甲状腺ホルモンが多くなる病気
(甲状腺機能亢進症 甲状腺中毒症)
甲状腺ホルモンが少なくなる病気
(甲状腺ホルモン低下症)
甲状腺のに問題がある 甲状腺が全体的に大きくなる病気
甲状腺の一部に しこり、おでき
(結節性甲状腺腫 甲状腺腫瘍 甲状腺癌)

甲状腺の「働き」に問題がある病気

甲状腺ホルモンが多くなる病気

甲状腺ホルモンがたくさん作られる病気(甲状腺機能亢進症)と、別の原因で甲状腺ホルモンが多くなる病気(甲状腺中毒症)があります。 前者にはバセドウ病が代表的です。後者には亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など病気があり、炎症によって甲状腺が破壊され、貯蔵されていた甲状腺ホルモンが一時的に血液にもれ出てくる状態です。甲状腺でつくられた甲状腺ホルモンは、血液の中に入り、体のいたるところに運ばれます。

甲状腺ホルモンが少なくなる病気

甲状腺ホルモンが作られなくなって、甲状腺ホルモンが少なくなった状態は、甲状腺機能低下症と呼ばれます。橋本病(慢性甲状腺炎)が代表的で、先天性に甲状腺ホルモンが少ない病気が原因となったり、甲状腺手術後、甲状腺放射線治療後にも起きやすくなります。

ホルモンが多いまたは少ない時の症状
ホルモンが多いホルモンが少ない
疲れやすさやだるさがある
かゆみがある皮膚が乾燥する
汗が異常に多い汗が少ない
口が渇く声がかれる
暑がりである寒がりである
眠れない眠たい
脈拍数が多く、動悸がする脈拍数が少ない
微熱が続く物忘れしやすい
手足がふるえるむくむ(顔、全身)
息切れがする動作が鈍い
甲状腺が腫れる
髪の毛が抜ける
食欲が旺盛である体重が増える
排便の回数が増える便秘
イライラする気力がない
眼球が出てくる筋力が低下する

左右どちらかの項目に4つ以上当てはまったら血液検査をしましょう。甲状腺ホルモンが多いと、体と内臓の動きを活発にする働きがあるので、表の左側のような症状が出ます。甲状腺ホルモンが少ないと、表の右側のような甲状腺のホルモンが多いときと反対の症状が出やすいです。

甲状腺の「形」に問題がある病気

甲状腺が全体的に大きくなる病気

甲状腺が全体的に大きくなる病気に「びまん性甲状腺腫」があります。びまん性甲状腺腫とは、甲状腺が全体的にそのまま大きくなる病気です。なかには単純性甲状腺腫といって、ただ甲状腺が大きいだけで、それ以外、甲状腺ホルモンなどに問題がない病気があります。 甲状腺ホルモンに異常が出やすい、バセドウ病橋本病でもびまん性甲状腺腫が起こります。

びまん性甲状腺腫の検査では、甲状腺超音波検査で甲状腺の中がどのようになっているかを観ます。 甲状腺ホルモンに異常がないかの検査も必要です。 橋本病やバセドウ病の原因物質の検査も行うことがあります。

甲状腺の「しこり」「おでき」

甲状腺内に腫瘍ができる病気に結節性甲状腺腫があります。良性悪性があります。 健康な人でも詳しく調べれば、10人中約2~3人の割合で甲状腺内の「しこり」が見つかります。 そのほとんどは良性で、大部分の方は心配ありませんが、なかには悪性の甲状腺癌がありますので検査が必要です。

結節性甲状腺腫の判別には、超音波検査が必要です。多くは超音波検査である程度、良性か悪性かが判断できます。 悪性の甲状腺がんを疑われた場合には、細い針を刺して細胞検査(吸引細胞診)を行います。

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甲状腺の検査
Thyroid Inspection

甲状腺の検査には以下のようなものがあります。

検査の種類検 査 名
血液検査 甲状腺機能検査
甲状腺自己抗体検査
甲状腺腫瘍、甲状腺癌の検査
甲状腺超音波検査 甲状腺超音波検査
画像検査 CT検査 MR検査 シンチ検査
細胞診検査
病理検査
吸引細胞診

血液検査の種類

甲状腺機能検査

フリーT3、フリーT4

甲状腺ホルモンには、T3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)の2種類あります。 この値が高いときは甲状腺機能亢進(甲状腺ホルモンが過剰)で、低いときは機能低下(甲状腺ホルモンが不足)です。 甲状腺ホルモンの大部分は血液中の蛋白と結合していますが、実際に作用するのは結合していない遊離(フリー)のホルモンです。そのため、最近ではほとんどの場合、フリーT3、フリーT4を測ります。 T3の大部分はT4から体の中でつくり変えられ、普通T3とT4は平行して変動しますので、特殊な状態を除いて甲状腺ホルモン検査ではフリーT4のみ測定で十分です。フリーT3は変動が大きいため必要ありません。

甲状腺刺激ホルモン( TSH )

TSHは、脳下垂体と言われる臓器から出るホルモンです。TSHは甲状腺にある受容体に結合して刺激し、甲状腺ホルモンの産生・分泌を亢進させます。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、TSHは抑制され低下します。一方、甲状腺機能低下症ではTSHは増加します。 甲状腺機能は、ほとんどの場合、このTSHとフリーT4の2種類で十分把握できます。

 フリーT4(,フリーT3)TSH
甲状腺機能亢進症
(過剰状態)
甲状腺機能低下症
(不足状態)

甲状腺自己抗体検査

バセドウ病や橋本病は自己免疫による病気です。免疫は、体内に入ってきて自分以外のもの(ウイルス、細菌、カビなどの微生物や他人の組織)を排除しようとする働きをいいます。自己免疫とは自分の体につくった免疫をいい、その結果、悪影響を及ぼす病気を自己免疫疾患といいます。甲状腺にも多くの自己免疫が知られています。

TSH受容体抗体( TRAb、TB I I )

バセドウ病では甲状腺にあるTSH受容体に対する抗体(免疫物質)ができ、その抗体がTSH受容体に結合してTSHと同じように甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンが過剰に産生されます。この原因物質を測定する検査です。バセドウ病ではこの検査が90%以上で陽性になり、バセドウ病の診断に必要な検査です。 診断後は毎月検査する必要はなく、数ヶ月に一度ぐらいで検査して、バセドウ病が改善したか治ったかどうかを判定します。 同様の検査にTSAb(TSH刺激性受容体抗体)というものがあります。これは別の測定技術で検査したものですが、おおよそTRAbと同じものです。

抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)、サイロイドテスト(TGHA)

甲状腺細胞内のサイログロブリンという蛋白質に対する自己免疫の検査です。 抗サイログロブリン抗体はサイロイドテストをより精密にした検査です。

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)、マイクロゾームテスト(MCHA)

甲状腺細胞内のマイクロゾーム(厳密にはその中のペルオキシダーゼと呼ばれる物質)に対する自己免疫の検査です。 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体はマイクロゾームテストをより精密にした検査です。

抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキダーゼ抗体は橋本病とバセドウ病で陽性になります。甲状腺自己免疫による病気の診断には有用ですが、経過観察のためにはあまり意味はありません。1回測定すれば十分です。

甲状腺が大きい・ホルモン異常がある時の検査
(代表的な場合です、例外もあります)
甲状腺検査機能検査自己抗体検査
びまん性
甲状腺腫
(甲状腺機能)
フリー
T4
TSH抗Tg
抗体
抗TPO
抗体
TRA
b
バセドウ病
(亢進)
陽性陽性陽性
橋本病
(正常)
陽性陽性 
橋本病
(低下)
陽性陽性 

甲状腺腫瘍、甲状腺癌の検査

サイログロブリン

甲状腺細胞内の甲状腺ホルモンをつくる時に必要な物質です。 甲状腺の病気、特に破壊があると血液にもれ出てきます。 炎症や良性腫瘍でも高くなりますが、癌では非常に高くなることがあります。 甲状腺癌の診断の手助けになることがありますが、主に甲状腺癌が適切に治療できたかどうかや、再発がないかどうかを調べるときに検査します。

CEA、カルシトニン

CEAは胃癌、肺癌や膵臓癌でも高くなる癌のマーカーです。甲状腺癌でも、頻度は少ないですが髄様癌で高くなることがあります。 カルシトニンは甲状腺でつられるカルシウムの調節ホルモンの1つで、CEAと同様に髄様癌で高くなることがあります。 最も多い甲状腺乳頭癌ではカルシトニンとCEAは高くなりません。

超音波検査

甲状腺の病気では、まず最初に行われる画像検査です。甲状腺の大きさや、内部構造を観るのに最適な検査です。通常、甲状腺専門外来がある医療機関では、受診日に外来で超音波検査を行って頂けます。バセドウ病慢性甲状腺炎(橋本病)の診断に大いに参考になりますし、甲状腺腫瘍の良性・悪性の鑑別には、超音波検査での形状はもちろん、内部の血流を観るエラストグラフィ(elastography) を行ったりして癌(がん)かどうかの見当をつけます。

検査の目的

甲状腺の大きさ

甲状腺の大きさを測定します。バセドウ病や橋本病患者さんの多くは甲状腺が大きくなります。また、バセドウ病では治療とともに甲状腺が小さくなることがあります。病気を調らべたり、治療経過を観るためにも甲状腺の大きさを調べることは重要です。

「しこり(腫瘍)」の有無

甲状腺やその他の頚部に腫瘍がないかどうか調べます。実際、外からでは触れなかった腫瘍でも、超音波検査でなら発見できます。腫瘍の場所、大きさ、数を調べます。悪性腫瘍でなくても定期的に観察することにより腫瘍の大きさの変化を知ることもできます。

良性腫瘍か悪性腫瘍かの鑑別

超音波検査で腫瘍の境界線や形、内部の状態から良性か悪性かがある程度、判断できます。境界が不明瞭であったり、形が不整であったり、腫瘍内部が不均一であったり、小さな石灰化を伴っていいたりした場合は悪性腫瘍の可能性を考えて精密検査します。

以下の比較で、甲状腺癌の方が境界がはっきりしなくて、腫瘍の内部も均一でないことがわかります。

甲状腺「良性」腫瘍(濾胞腺腫)
甲状腺「悪性」腫瘍(乳頭癌)

血流の観察(カラードプラー法)

血流が多いか少ないかが判ります。腫瘍では良性腫瘍より悪性腫瘍の方が、血流が多くなります。また、バセドウ病 では病気の活動性が高いと甲状腺全体の血流が多くなります。

以下の図は、バセドウ病のカラードップラー法です。血流が非常に多くなっています。

バセドウ病のカラードップラー法

組織弾性イメージング法(エラストグラフィー)

病変部の硬さを超音波画像にカラーイメージとして描出します。腫瘍でも悪性な腫瘍ほど硬くなります。この検査で約90%の確率で良性か悪性か判定できます。

以下の図は甲状腺癌での組織弾性イメージの例です。硬い組織ほど青くなります。腫瘍がある部分は非常に硬く、癌(がん)の可能性が高いことがわかります。

超音波ガイド下穿刺吸引細胞診

超音波検査画像で見ながら細胞を採取し病理細胞診検査をします。大きな病変でも悪性度の強そうなところから、小さな病変部からでも確実に細胞を採ることができます。

腫瘍の中に確実に注射針(図中の赤色の点線)が挿入されています。

その他の頚部病変

炎症で腫れたリンパ節や、癌のリンパ節転移があるとリンパ節が多くなります。甲状腺の裏に副甲状腺といってカルシウム調節ホルモンつくる米粒ほどの副甲状腺が4つあります。これらリンパ節や副甲状腺も病変がないかどうか調べることができます。

超音波エコー写真の例

正常な場合と代表的な病気の場合の超音波エコー写真です。

正常
バセドウ病
橋本病
甲状腺のう胞
甲状腺良性腫瘍(濾胞腺腫)
甲状腺癌(乳頭癌)

細胞診・病理検査(甲状腺吸引細胞診)

検査の目的

「しこり」が良性か悪性かを調べるためにおこなう検査です。 甲状腺の「しこり」は触診と超音波検査でまず調べて、その後、癌を疑った場合に「しこり」にガン細胞がないかどうかを調べます。

検査の方法

採血検査と同じくらい細い針を甲状腺の「しこり」に刺して、注射器で陰圧をかけ、細胞を吸い取ります。吸い取った細胞をガラス板(プレパラート)の上にのせて、顕微鏡で観察し病理診断を行います。 採血検査とほぼ同じぐらいの痛みはありますが、安全に行うことができます。 下のように「しこり」を超音波画像でみながら行う方法と、超音波画像をみずに手で「しこり」を確認しながら行う方法あります。

超音波ガイド下吸引細胞診

針が適切な部位にあたっていなければ、悪い病変があっても正確な診断ができません。正確に診断するためには、的確に病変に針を刺して、そこから細胞を吸い取ることができるかが一番重要なポイントとなります。そこで、超音波画像をみながら病変部に針を刺します。これが超音波ガイド下吸引細胞診です。

触ってもわからないような小さな「しこり」や大きな「しこり」でも内部の一部をピンポイントに刺す場合に、非常に威力を発揮します。当院でもこの検査法を積極的に導入し、より正確な診断が可能となっています。午後でしたらご来院頂いた当日に超音波検査後にそのまま吸引細胞診を施行しております。

以下の図は超音波ガイド下吸引細胞診を行った際のエコー写真です。針先が甲状腺癌の疑いがある「しこり」に確実に刺さっていることがわかります。細胞検査で癌であることが判明しました。

検査の性格上、多少お待たせする場合もございますが、ご不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

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